※平行ニコルの顕微鏡写真:全て偏光の振動方向は画像の左右方向(⇔)
ケイ灰石 wollastonite CaSiO3 [戻る]
三斜晶系(かなり高温条件でできたものは単斜晶系) 二軸性(−),2Vx=40〜60° α=1.616〜1.640 β=1.628〜1.650 γ=1.631〜1.653 γ-α=0.013〜0.014
形態:柱状〜針状(b軸に伸びる)。
色・多色性:無色。
消光角:柱状のものは結晶の伸びやへき開に対し数°程度で,ほぼ直消光のこともある(単斜晶系のものは結晶の伸びに対し直消光)。
へき開:結晶の伸びに対し平行な1方向(1 0 0)のへき開が明瞭で,他に2方向のやや不明瞭なへき開もある。
伸長:結晶の伸び・へき開に対し正の場合も負の場合もある(b軸に伸び,b≒Y)。
双晶:(1 0 0)の双晶が消光状態で時に認められる。
累帯構造:組成変化に乏しく,累帯構造は見られない。
産状 スカルンに産し,特に火成岩との接触部に近い部分にグロッシュラーと共生して多量に見られる。低温部分には産しない(CaCO3+SiO2 → CaSiO3+CO2の反応における右側(生成系)の約400〜500℃以上で安定)。なおケイ灰石が石英と共生するか,方解石と共生するかで,その環境がケイ酸分に飽和しているか,不飽和であるかが分かる。 ケイ灰石の存在はAl欠乏条件を示し,スカルン以外の岩石にはまれ。Al2SiO5鉱物やコランダムとは共生しない。 |
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スカルン中のケイ灰石 Wo:ケイ灰石,Gs:グロッシュラー,Cal:方解石 火成岩との接触部に近いスカルンにグロッシュラーと共生して多量に見られるもの。細かい柱状結晶が微粒状のグロッシュラーや方解石と密雑している(このようなケイ灰石と方解石の組合せはケイ酸分に不飽和で石英は共生しない)。同じスカルンでも接触部から離れた石灰岩寄りのケイ灰石は粗大な柱状結晶をなす場合が多く,アンドラダイトや透輝石などと共生する。 |
![]() 肉眼で見たケイ灰石を含むスカルン。淡褐色のざくろ石部にもケイ灰石が多く含まれる。 |